あいうえお・ABC なぜ どこが むずかしい?どうしたら 読み書きできる?
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最初、醤油の「ょう」が読めなかったのは、1つに「同時的方略」がうまく用いられなかったからです。しかし日ごろの生活では、場面や文脈から推測を働かせることで、あのような文字でもあっさりと読むことができます。「せんきょくのせんきょく…」も同様です。つまり文字を認知するにしても、文章を読むにしても、一画一画をよく見て、一文字一文字を順に音にしていくことと同時に、全体を見ることとのバランスがとても大切だということです。 これについては、30年近くも前のこと、英語検定試験3級の二次試験で‘restaurant’を読めない受検者が大勢いたことを思い出します。当時の中学生の教科書にはのっていない単語でしたが、問題文に添えられた挿絵を見れば場面がレストランであることは明らかなのに、中学生と思わしき受検者は多くが「レ、レス、レスタウ…」と読み戸惑い、その中の何割かはついに意味を理解せずにしまったと思います。国語の授業でも外国語の授業でも、積み上げ型に片寄りがちであること、継次的方略ばかりに頼りがちであることは、2020年の今でも変わらないように思います。 このあと「具体的な指導の手立て」の中では、フォニックスを紹介します。これはとても有効な手立てであることは間違いありません。1997年に東京YMCAで行われた「LD 児とその周辺児のための英語教室」で、フォニックス指導を提案したのは私自身でした。しかしフォニックス指導は、典型的な継次的方略であってこればかりに片寄ることは避けなければいけません。残念ながら絶版となっているようですが、『フォニックス指導の実際』(松香洋子監訳:玉川大学出版)の著者A.W.ハイルマンも「フォニックスや暗記法、文脈からの類推のどれに頼っても、1つに頼りすぎることは読みの指導において深刻な問題を生じさせる可能性がある」と言っています。

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