リヴォルヴ学校教育研究所 > オノムの英語の学び方・教え方 > 無料メルマガ「オノムの英語の学び方・教え方 vol.14」〜英語のテストに強くなる (4):長文問題に強くなる(前半)〜

無料メルマガ「オノムの英語の学び方・教え方 vol.14」〜英語のテストに強くなる (4):長文問題に強くなる(前半)〜

小野村の無料メルマガ記事を、こちらのブログでも少しずつ紹介させていただきます。
Facebookコメント、大歓迎です。

好評につき、バックナンバーも当法人サイトでまとめて読んでいただけるようにしていく予定です。
(現在バックナンバーはこちらから読めます)
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

オノムの 英語の学び方 教え方【vol.14】◆◇◆ 2013年2月16日(土)発行

―――――――――――――――――――――――――――――  vol.14

どうしたら、苦手を克服し、英語が得意になれるのか? 
英語の勉強方法、教え方に迷っているあなたに、長年、学習につまずきがちな
子ども達の指導にあたる筆者が、最新の学習理論に基づいた具体的な学習方法
をわかりやすくアドバイス!

-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

3.1.4 英語のテストに強くなる (4):長文問題に強くなる(前半)

英語が苦手だという人からは、よく、「単語が覚えられない」と聞きます。

「単語を覚えなきゃ、長文問題はできるようにならない」と思い、
単語集を買うなどして練習をする。

それでもなかなか頭に入らないから英語が嫌いになり、
ますます苦手になってしまう。

実は私もそうだったのですが、
このような悪循環に陥っている人は少なくないと思います。

昨年末から「英語のテストに強くなる」をテーマとしてお話してきました。

その最終話として「長文読解問題」を2回に分けてとりあげますが、
今回は単語力について、発想の転換をして「まとまった英文を読みながら、
単語力を養う方法」についてお話したいと思います。

そこでまず、
「カタカナ語はすぐに覚えられるのに、なぜ英単語は覚えられないのか」
ということを考えてみましょう。

たとえば「汚染が海の生物にダメージを与えている」などと聞いたときに、
「ダメージ」の意味をカタカナ語辞典で調べたという人は少ないと思います。

しかし‘Pollution harms sea animals’のような文中で
‘harm:害する’を聞いたり読んだりした場合は、
多くの人が辞書を引いて意味を調べようとします。

「ダメージ」などはすぐに覚えられるのに、
ノートに何回書いても覚えられないということにもなりがちです。

最近の研究では、音から受ける印象によって、
語の覚えやすさに違いが生じることがわかってきています。

「ダメージ」の音は日本語の「ダメ」にも通じるものがありますから、
‘harm:害する’にくらべて覚えやすいということも考えられます。

しかし、理由はそれだけではありません。

その他の理由としてまず考えられるのは、学ぶ姿勢の違いです。

初めてのカタカナ語にふれたとき、私達はまずその意味を場面や文脈から類推して理解しようとします。

つまり、自分で考えているのです。

ところが英単語の場合は、すぐに辞書に頼ってしまい
自分で考えようとしない。

受け身の姿勢になっています。

迷いながらでも自分で行けば覚えられる道も、
誰かの助手席に乗って出かけたのではなかなか覚えられません。

自分で運転していても、カーナビに任せっきりにしてしまえば
同じことです。

ここで私の生年月日をお伝えしても、
みなさんはすぐに忘れてしまうでしょう。
しかし、大好きな人の生年月日だったら、
一度聞いただけでも忘れないということもあります。

 
私達の脳は、自分自身で考えたこと、自分に必要だと感じたことは
よく覚えているものです。

その一方で、「テストのために覚えなきゃ」とは思っていても、
脳が「本当に」必要だと感じてはいないこと、自分自身で
考えていないことはなかなか記憶に残らないものです。

日本語にふれる時間を100とすると、
外国語としての英語にふれる時間はその5%にも達しないともお話ししました。

「苦手、嫌い」となれば、その時間はもっと減ってしまうのが
普通ですからなおさらです。

しかし「ダメージ」のようなカタカナ語も、
毎日、繰り返し聞いているわけではありませんし、
覚えようとして練習をしているわけでもありません。

それでも、たくさんのカタカナ語を身につけられる私達が、
‘harm’くらいの単語を覚えられないはずがないのですが…。

では、どうしたらよいか。

先回の「並べかえ(語順整序)問題に強くなる」の中でもふれましたが、
‘Pollution harms sea animals …’のような文は、
S + V + Oを確認し、
「‘pollution’が‘sea animals’を‘harm’している」とします。

翻訳家や通訳を目指すのでなければ、
‘pollution’や‘harm’を日本語にできなかったとしても
問題ではありません。

しかしここで「‘harm’ってどういう意味?」と尋ねると、
「ほら、その、何ていうか…こんな感じ?」といって
手振り身振りで答えてくれる生徒もいます。

私はそれで正解とし、ときによっては「辞書で確認してみようか」
とします。

すると興味深いことに、まずほとんどの生徒が、
「あっ!(Aha!)」と声をあげます。

これがいわゆる「アハー体験」です。

最近よく知られるようになった「アハー体験」ですが、
これは心理学辞典にも載っている専門用語です。

以前にも、「あっ! そういうこと」と気づけるようにすることが
大切だと書きましたが、このような体験を通して学んだことは、
記憶にも残りやすいものです。

授業の中で「‘leave’の意味は?」と聞いたところ、
「猿」と答えた生徒もいました。

予習を忘れたその生徒は休み時間に友達に聞いて、
「去る」と言われたのを「猿」と勘違いしてしまったようです。

笑い話のようですが、これは見過ごすことのできない問題です。

多くの学校では相変わらず、単語の予習をさせ、
文法事項を確認した上で、英文を日本文に直す
といったことが行われています。

しかしこのような学習方法では、
どうしても辞書に頼りがちになり、
読解も受け身になりがちです。

これでは力もつきません。

‘Pollution harms sea animals …’の前後に、
‘… pollution are causing a lot of damage to human health’
などとあれば、
「‘pollution’は人々の健康に多大な‘ダメージ’を‘cause’している」
とすることで‘pollution:汚染’だと推測ができます。

とすれば自ずと、‘harm’の意味も見当がつきます。

内容を理解するということでは、
「読むこと」も「聞くこと」と同じです。

したがって、リスニング問題の際にも挙げた「場面や文脈から類推を働かせること=自分で考えること」の大切さは、
読解問題でも同様です。

長文問題に強くなるためにも、辞書に頼りすぎることなく、
類推を働かせながら読む習慣をつけることが大切です。


●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●

《今日のポイント》

・ 意味がわからない単語は、S + V + Oを確認し、
  「‘pollution’が‘sea animals’を‘harm’している」などとして、
  場面や文脈から類推を働かせて読むようにする。

・ 「単語を覚えなきゃ、長文問題はできるようにならない」ではなく、
  上のような方法でまとまった英文を読むことを繰り返し、
  「読むことで、ボキャブラリーを増やす」ようにする。

●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●

次回は「英語のテストに強くなる (4):長文読解問題に強くなる(後半)」を
お届けします。


☆ ご意見・ご感想はこちら ☆
 ───┬───────────
    └─→ https://rise.gr.jp/contact

-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+