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本屋さんでびっくり!~ライズ学園日記~

 ライズ学園では、昨日、みんなで本屋さんに行きました。都内に住む方から、本を購入してくださいとご寄附をいただいたのです。

 子ども達は、どんな本を選んできたと思いますか?

 新聞の書評欄から候補に挙がったのが、「137億年の物語 宇宙が始まってから今日までの全歴史」(クリストファー・ロイド 文藝春秋)。
 これだけでも驚かせられていたのですが、小学6年生の男の子に「どんな本がほしいの?」と聞くと、「きょすうのじょうちょ」という答え。私は一瞬ぽかんとしてしまいました。

 本屋さんに行って、またびっくり! 「虚数の情緒-中学生からの全方位独学法」(吉田 武 東海大学出版会)は1,000ページにもなる大書です。副題には「中学生からの…」とはありますが、彼はそれでもまだ小学生です。

 「高すぎますか?」と彼。

 「ページ数から考えれば、安いと思うよ。だけどまず、少し読んでから決めたら」と、私は私でそのすぐに近くにあった別の本を読みだしました。

 「うーん」

 「やっぱりむずかしい?」

 「いや、おもしろそうだけど … 高いから …」

 「大丈夫でしょ、きっと。君が読みたいなら買おう!」

 しばらく店内を歩き回っていて「決められない」といっていた中学3年生の女の子が選んできた本は、「乳幼児は世界をどう理解しているか:実験で読みとく赤ちゃんと幼児の心」(外山 紀子他 新曜社)。

 「ことばと思考」(今井むつみ 岩波新書)を「おもしろかった」とわずか2、3日で読了していた彼女は、私が個人で買った「脳はいかにして言語を生みだすか」(武田 暁他 講談社)を見て、「それもおもしろそう。読みたい」と言います。

 「火の鳥 全巻」(手塚 治虫 角川文庫)なども買いましたが、(マンガとはいえ、これはこれで素晴らしいですよね)、子ども達の知的好奇心にはびっくり!

 最初にお話しした男の子に、

 「算数は苦手って言ってなかった?」と聞くと、彼は「計算は苦手だけど … 」と言います。

 
  ライズ学園には、本当におもしろい子が集まってきます。前に座談会形式の講演会で、「おもしろい」といったら「子どもを侮辱している」と感想に書かれたことがありましたが、私は彼らのことを本当に「おもしろい」と思いますし、彼らといることをとても楽しく思います。ちなみに「おもしろい」は、もともと「目の前が明るくなる様子」を表した言葉だそうです。彼らと接していると、まさに「目の前が明るくなる」ような気がします。

 不登校も、それ自体は決して問題ではないと思います。問題であるとしたら、それは不登校になることによって、自信を失ってしまうことだと思います。

 力不足も否めないのですが、私達スタッフが常に心がけているのは、一人ひとりに異なる可能性の芽を、大切に育むことです。

 私自身も、元は公立学校の教師です。普通の学校を全否定するつもりはありません。しかしそれが、すべての子ども達に効率的に質の高い教育の機会を与えるため「観光バス」だとしたら、私達は「タクシー」になりたいと思っています。子ども達には、様々な学びの機会が与えられて然るべきだと思います。この子たちには、自分のペースで、ゆっくりと歩いて行ってほしいと思います。

 そして子ども達に、年に何度となく話をするのは、ライズ学園が多くの人々の善意で支えられていうということ、感謝の気持ちを忘れずにいようということです。

  最後になりましたが、寄附をいただいたSさんには心からの感謝を申し上げたいと思います。