あいうえお・ABC なぜ どこが むずかしい?どうしたら 読み書きできる?
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牛の顔がアップになっているのをおわかりいただけたでしょうか? ここで体験いただいたことは、見ることにおける「カクテルパーティー効果」だと言って差し支えないでしょう。あなたは今、にぎやかなパーティー会場にいるとします。その会場の片すみで誰かがあなたの名前を言ったとします。「自分の話をしている」と思った瞬間、それまで耳に入らなかった会話が急に気になりだした。そんな経験はきっと誰にでもあるはずです。これを「カクテルパーティー効果」と言います。多くの人が談笑しているパーティー会場の中でも、自分に関わり合いのある情報とそうでない情報、雑音などを、私たちは無意識の内に「聞き分ける」ことができます。 見ることにおいても同様、私たちは選択的に「見分け」ています。しかしこの絵を初めて見たときの私たちは、必要な情報とそうでない情報との見分けがつかない状態にありました。そして一度、牛を認識した私たちは、ここまでが必要な情報、ここから先は不必要な情報(例えば左下のカメの甲羅のような部分)と、無意識の内に線引きをしています。「見どころが、わかるようになった」と、言いかえてもよいでしょう。 牛だとわかった方は、もう一度前のページの図をご覧になってみてください。もうヒントなしでも牛、もしかするともう牛にしか見えなくなっているかもしれません。「幽霊の正体見たり枯れ尾花」ということわざがありますが、「怖い、怖い。幽霊が出そうだ」と思っていると「枯れ尾花(ススキの穂)」でさえ幽霊に見えてしまう。同じように、一度牛だとわかれば牛にしか見えなくなり、わからないという人がわからなくなる。見ることにおいても、「思い込み」が大きく影響していることも確かなようです。

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