あいうえお・ABC なぜ どこが むずかしい?どうしたら 読み書きできる?
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(1) 文字に親しみ、音につなげる文字指導について書かれた本の中には、右に示すような指導の手順をあげているものがありますが、実際にはもっと複雑であることはすでにお話しした通りです。b/dなどは大人になっても右と左を間違える人がいるように、文字だけを示されるとこれを混同する人、間違えるまではしなくても戸惑う人もいます。それでも‘ I walk my dog every morning.’のような文の中では、「散歩をさせるならdog:犬 だろう」と場面や文脈から推測してして読むことができます。本冊でも構成上、番号をふって順にお話をすることになりますが、単純に「2ができなければ、4はできない」というようなものではないこと確認して次に進みたいと思います。 多くの子どもたちにとって、最初の文字との出会いは絵本などの読み聞かせでしょう。絵本に「あひる」とあれば、文字を指さしながら「あ」「ひ」「る」と一文字一文字を音にし、また「あひる」とゆっくり読んで聞かせます。その子の名前をゆっくりと書いて見せながら、読んで聞かせるのもいいでしょう。すでにお話ししたように、「い」ならまずは「たて棒2本」と言いながら書いて見せ、次にそれを少し傾けて「斜めに2本」、最後に「少し丸めて斜めに2本…『い』」などと言いながら、スモールステップを踏んで書いて見せるのも良いでしょう。 ただしこの段階では、「あ」と「お」、「る」と「ろ」などの区別までは目標とはしません。上記のような手立ては文字に親しむこと、「文字」というものの存在を意識させ、それぞれが「音」に対応していることを気づかせることを目標とします。

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