あいうえお・ABC なぜ どこが むずかしい?どうしたら 読み書きできる?
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英語教材のキャッチコピーに「赤ちゃんは文法を勉強しません」というフレーズが使われていましたが、だからといって高校生や成人学習者に「赤ちゃんと同じ方法で英語を勉強しなさい」とするのは明らかに矛盾しています。これなどは学習者のhabitを軽視した典型的な例として挙げられるでしょう。成人学習者に比べて必ずしも赤ちゃんが劣っているということではありませんが、capacitiesやinterests、habitsを見ず、ネイティブはこうしているから日本語ネイティブも同じようにすればよいという発想は短絡的に過ぎます。けれど多くの人は、capacitiesもinterests、habitsも辞書を調べて、日本語に訳したらそれで「わかったつもり」になっています。これはまさに、現在の英語教育の問題点でもあります。 だからといって「わからない」では何も始められません。それなりにわかったつもりでいなければ、自信が揺らいでしまうということもあるかと思います。しかし、「わかったつもり」になってしまっているのと、「わからないから、少しでもよく理解できるように、よりよく見よう」とするのとでは、結果に大きな差が生じるであろうことは言うまでもありません。わかったつもりでいれば、見る姿勢からして損なわれてしまいます。わからないからこそかたわらに寄り添う。その心と姿勢こそが信頼を深め、子どもたちと支援者双方にとって意義ある学びを可能にするのではないでしょうか。

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