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ご挨拶

2011・2012年から2回の学習指導要領の改訂を経て、子どもたちが中学卒業までに学ぶ英単語数は900語程度から1200語、そして今2,500語を超えようとしています。その間、不登校は急増を続け、2023年度には約34.6万人、2012年度の3倍に達しています。一方で、児童生徒数は100万人以上減少、校内フリースクールを利用するなどしている子はカウントされないこともあるようです。
不登校の要因は「無気力」だと言われれば、その責任は子どもたち自身または育て方にあるかのような錯覚にもいざなわれます。しかし、無気力は結果であったとしても要因ではないはずです。程度の差などはあっても、多くの不登校には学習面でのつまずきが影響しています。その背後にLD(Learning Differences:その子なりの学び方)への理解の不足があることも、確かです。経済的、地理的な理由による学びの環境格差も広がっています。
「学校に戻すことを目的とはしない」などとも言われていますが、それでいて登校しないでいる子に満足な学びの機会が保障されていないという現状を、私たちはどう理解したらよいのでしょう? それでも本来の自分らしくいられるなら、それはそれで良いのかもしれません。しかし日本の子どもたちは、諸外国に比べて全般に、自己肯定感が低いとも言われています。問題はむしろ、子どもたちが自分らしく学び、育つための環境が保障されていないことにあるのではないでしょうか?
一方で、「不登校児童生徒」に勉強を強いるなと言う人がいます。私は英語教師ですが、どうしても英語が苦手だという子には、他の外国語を選択してもらってはどうでしょうか? 自動翻訳技術が著しい進歩を遂げている今、外国語学習を回避、または先送りするという選択肢も用意しても良いと思います。しかし、不登校やそれに類する状態にある子を、「無気力」「勉強嫌い」と決めつけ、学びの機会を保障せずにおくことは「配慮」という名の「排除」に他なりません。
もちろん無理強いは避けるべきですし、「学校」に行かないという選択も尊重すべきです。それでも「多少の圧力は必要だ」という意見もあるかと思いますが、誰に言われなくても、大人からはまったくそうは見えなくても、子どもたちは大きな不安に押しつぶされそうになっていたりするものです。しかし、だからこそなおのこと、その子がその気になったとき、手を伸ばせばそこにその子なりの学びの機会があるように環境を整えることが大切ではないでしょうか?
長年、子どもたちと接してきて思うのは、もともと学ぶことが嫌いな子はいないということです。経済的、または地理的な理由などによる子育ち環境の格差も、さらに広がりつつあります。できれば、自信を損ない学ぶことが嫌いになる前に、どうせだめだとあきらめてしまう前に、その子にあった方法でその子の興味や関心に沿った学びの機会を得られるような環境作りに努めたいと思います。
一人の小さな手 何もできないけど
それでも みんなの手と手をあわせれば
何かできる 何かできる
非力な私たちには、大きすぎる夢かもしれません。しかし、みなさんといっしょならばきっと何かができると信じています。
2025年2月
NPO法人 リヴォルヴ学校教育研究所
理事長 小野村 哲