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無料メルマガ「オノムの英語の学び方・教え方 vol.16」〜日本語と英語:異なる点と似ている点(前半)〜
オノムの 英語の学び方 教え方【vol.16】◆◇◆ 2013年3月10日(日)発行
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~ オノムの 英語の学び方 教え方 ~
――――――――――――――――――――――――――――― vol.16
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4.1 日本語と英語:異なる点と似ている点(前半)
教室からの帰り道、ふと見ると、早咲きの梅が満開になっていました。
あの震災から、2年になるのですね。
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さて、昨年発行した第4号で、日本語のオノマトペ(擬音語、擬態語)と
英語の間には不思議なくらい通じるものがあるとお話ししたのを
覚えてらっしゃいますか。
模擬単語テストの中で、(10)「かすかな光り:gleam」を
思い出していただくためのヒントとして、
「初めの2文字は‘gloss:つや / 光沢’‘glory:栄光’と同じ」
をあげました。
この3語に共通しているのは「光」ですね。
日本語でも「ギラギラ光る」と言うように、
英語でも‘gl-’は光を表す語に用いられます。
日本語と英語は意外と似ている。
違いは違いとして確認した上で、どこがどう似ているかに気づけば、
より効率的な英語学習が可能になります。
といわれても、ピンとこない方が多いかと思います。
他にも「スルっと滑る」と「slip:滑る」「slide:滑る」、
「じっとしている」と「stand:立っている」「stay:…のままでいる」
など多くの例をあげることができますが、
たいていは「そんなの偶然でしょう」と笑われてしまいます。
これまでの常識では、
「日本語は英語からもっとも掛け離れた位置にある似ても似つかない言語」
とされてきましたから、それも当然かもしれません。
世界で使われている言語を「主語が省略できるかどうか」などの
基準でグループ分けをすると、
日本語と英語はほとんどの点で異なるグループに属することがわかります。
英語で‘I love you.’というところを日本語ではふつう「愛している」
としか言いません。
「あなたを愛している」ということはあっても、
「私はあなたを愛している」ということはまれです。
しかしある著名な言語学者は、
「見た目はかなり違うパンとクラッカーもレシピの違いは
大さじ1杯のイーストだけ。(日本語と英語のように)
似たところなど何ひとつなさそうな言語も、
実はレシピのほんの1カ所が違うだけかもしれない」
と言っています。
このような考え方は、言語学以外の研究からも
支持されるようになってきています。
今、地球上に暮らすすべての人の祖先は、
ある限られた地域で生まれ、世界中に広がっていったとされます(単一起源説)。
だとすれば、私達の祖先も、英語を母語とする人々の祖先も、
遠い昔は同じような言葉を話していたと考えるのが自然です。
まだわずかですが、このような考え方を支持する論文も発表され始めています。
極論すれば、英語は日本語の方言であり、
日本語は英語の方言であるともいえそうです。
栃木弁と茨城弁はよく似ていますが、
同じ日本語でも鹿児島弁とはずいぶん違っています。
いわゆる「沖縄弁」は、「琉球諸語」として日本語とは別の言語
とされるて然るべきです。
しかし鹿児島弁を日本語ではないと考える人はまずいませんし、
「琉球諸語」までを日本語と考えている人もいます。
政治的な問題を脇に置くとすれば、
要は、言語と言語の間の距離感の問題です。
生物の進化について研究する人々からも、
興味深い報告がなされています。
魚類と哺乳類であるクジラやイルカなど、
別々の場所で進化した系統的にも異なるグループに
属する生物の姿かたちが、不思議なくらいに似てくる
という進化の不思議についてです。
今はそのほとんどが絶滅してしまった有袋類(カンガルーなど)と
お腹の中で子育てをする真獣類(私達もここに入ります)
の進化を見ても、そこには偶然とは思えない共通性があるそうです。
興味がある方は
「収斂進化(しゅうれんしんか)」で検索をしてみてください。
端的に言えば、進化には必然性があるらしいということです。
大昔は同じ言葉を話していたとしても、日本語と英語が
ずいぶんとかけ離れていることは間違いありません。
しかし言語も生物と同じように似たような進化をとげるとするならば、
やはり日本語と英語は、まったく似ていないとするほうが不自然で、
似ていてあたり前だという結論にたどり着きます。
先ほどご紹介した言語学者マーク・C・ベーカーが
その著書「言語のレシピ」でふれているのは、文法に関する問題です。
しかし音や音から受ける印象についても、同じことが言えそうです。
‘dam:ダム’と唇を閉じればいかにも「流れをせき止める」感じがしますが、
これをもし‘dash’としたら水が勢いよく吹き出してきてしまいそうです。
‘put’‘push’‘pull’のうちのどれが「押す」でどれが「引く」か
と言われれば、やはり何となく「push:押す」「pull:引く」だ
という気がしませんか。
このような音から受ける印象は、どうやらすべての人に共通するようです。
外国語を学ぶ際には、「音韻的気づき」が非常に重要な役割を
果たすこともわかってきています。
「音韻的気づき」などというと難しそうですが、
それは本来だれもが少なからずもっているもの、
「何となくそんな気がする」という「何となく」にあたるものだといってよいでしょう。
金曜日の小学生のクラスで、「‘新鮮’は‘fresh’、
じゃ‘新鮮じゃない’は何て言うの?」という質問がでました。
‘stale’と答えると、子ども達は「いかにも古くなっていそう!」
と笑っていました。
‘stale’と「捨てる」がここまで似ているのは、偶然かと思います。
しかしここで大切なのは、子ども達がごく自然に
「‘fresh’はいかにも‘新鮮そう’だけど」としていることです。
先回、高校生が‘decline’の意味を尋ねられて、「音からして何となく‘減少’していそうな感じ」と言っていたことも思い出してみてください。
‘gl-’は「ギラギラ」、‘sl-’は「スルっ」に似ているかどうかは別としても、
このような「音に対する気づき」は、英語を英語のまま理解することにもつながります。
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《今日のポイント》
・ さまざまなの研究の結果から、世界中の言語は1つの言語から
枝分かれしていったのではないかと考えられるようになってきている。
・ 日本語と英語にも、偶然で済ませることができない類似点がある。
特に「音から受ける印象」については全人類に共通するのではないかと
言われ始めている。
(今回の内容について本格的な研究はまだ少なく、仮説の域を脱するものでは
ありません。)
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次回は「日本語と英語:異なる点と似ている点(後半)」をお届けします。
今回ふれることのできなかった文法にもふれる予定です。
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